新しいことを学ぶとき、私たちの中には2つの力が動きます。
ひとつは、早く分かりたい、早くできるようになりたいという急ぐ力。
もうひとつは、少しずつ慣れたい、試しながら分かりたいという育てる力です。
どちらが良い、どちらが悪いという話ではありません。
急ぐ力と、育てる力。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
どちらかに偏りすぎると、学びは苦しくなったり、進みにくくなったりします。
心の仕組み研究所では、早く安心や正解に向かおうとする、急ぐ心の動き を「ワープ」。
物事が少しずつ育っていく 流れを見る視点 を「文脈」と呼んでいます。
この記事では、新しいことを学ぶときに大切な、急ぐ力と育てる力のバランスについて整理していきます。
急ぐ力は、学びの入口を作ってくれる
新しいことを学ぶときに、
- 早く全体像をつかみたい。
- まず必要な情報を集めたい。
- 正しいやり方を知りたい。
- すぐ使える形にしたい。
- まず形にしてみたい。
こうした気持ちがあるから、学びは動き出します。
急ぐ力 があると、
- 初速が出る
- 集中できる
- 全体像をつかみやすくなる
- 学んだことを行動に移しやすくなる
つまり急ぐ力は、学びを進める力です。
最初の一歩を踏み出すときや、短期間で形にしたいときには、とても役に立ちます。
急ぎすぎると、学びが苦しくなる
ただし、急ぐ力が強くなりすぎると、学びが苦しくなることがあります。
- 早く分からなきゃ
- 早くできるようにならなきゃ
- 正しく学ばなきゃ
- 結果を出さなきゃ
- 納得できるまで進めない
こうなると、学びが「 安心するための手段 」になっていきます。
本来、新しいことを学ぶときには、分からない時間 があります。
できない時間 もあります。
迷う時間 も、失敗しながら覚える時間 もあります。
でも、急ぐ力が強すぎると、その 途中の時間 を飛ばしたくなります。
- 分からないまま触れる
- できないまま試す
- 納得できないまま置いておく
そういう時間を、失敗や遅れのように感じてしまう のです。
その結果、焦り や 自責 が増えたり、情報を集めすぎて疲れたり、続ける前に苦しくなったり します。
育てる力は、学びを自分のものにしてくれる
一方で、育てる力 は、学びを自分の中に馴染ませてくれます。
- 最初は分からない
- 少し触れてみる
- うまくいかない
- 休む
- また見る
- 少し分かる
- 別の場面でつながる
- あとから腑に落ちる
こうした流れを、学びの自然な過程 として見ていく力です。
育てる力 があると、分からない時間をすぐに否定しなくて済みます。
- 「今はまだ慣れている途中」
- 「これは失敗ではなく、観察材料」
- 「納得はあとから育つかもしれない」
- 「今日はここまででいい」
そう思えることで、学びに余白が生まれます。
育てる力は、学びを深める力です。
焦らず、少しずつ、自分に合う形にしていくために必要な力です。
育てる力にもデメリットがある
ただし、育てる力にも注意点があります。
- じっくり見よう
- まだ決めなくていい
- まだ自分のペースでいい
この感覚は大切です。
でも、そこに留まりすぎると、今度は動けなくなることがあります。
- 決めるタイミングを逃す
- 小さく試すことを避ける
- 考えるばかりで実践に移れない
- 自分の感覚を大事にしすぎて、外側の条件を見落とす
本来は育てる力は、
自分に合う動き方を見つけるための力 です。
だから、分からないままでも小さく試すこと が大切です。
大切なのは、急ぐ力と育てる力のバランス
学びで大切なのは、急ぐ力を消すことでも、育てる力だけを大事にすることでもありません。
必要なのは、バランスです。
急ぐ力で、入口 を作る。
育てる力で、自分の中に馴染ませる。
急ぐ力で、まず全体像を見る。
育てる力で、細かい部分を理解 していく。
急ぐ力で、まず形にする。
育てる力で、あとから修正 する。
急ぐ力で、進む。
育てる力で、戻る。
この往復があると、学びは続きやすくなります。
どちらかに偏っているサイン
急ぐ力が強くなりすぎているとき は、こんなサインが出ます。
- 早く分からないと不安になる
- できない自分を責める
- 情報を集めすぎる
- 納得できるまで進めない
- 休むと遅れる気がする
育てる力に偏りすぎているとき は、こんなサインが出ます。
- 考えている時間が長くなる
- 決めるのが怖くなる
- 小さく試すことを後回しにする
- 自分のペースを守りすぎて、外側の条件を見落とす
- 研究しているのに、生活や実践に戻りにくくなる
どちらも悪いわけではありません。
ただ、今どちらに偏っているのかが見えると、次の一歩を選びやすくなります。
研究のまとめ
学び方には、急ぐ力と育てる力があります。
急ぐ力は、初速を出し、全体像をつかんで形にする力 です。
でも、強くなりすぎると、焦りや自責が増えます。
育てる力は、学びを深め、自分の中に馴染ませる力 です。
でも、偏りすぎると、眺めすぎて動けなくなる ことがあります。
だから大切なのは、どちらかを正解にすることではありません。
急ぐ力で入口を作り、育てる力で馴染ませる。
進んで、戻る。
試して、眺める。
休んで、また触れる。
その往復の中で、自分に合う学び方は少しずつ育っていきます。
