心食堂は、Cozy Life Lab.への発酵期間だった

心の仕組み研究所である「Cozy Life Lab.」が今の形になるまでには、いくつかの紆余曲折がありました。

ここは最初から「 心の仕組みを研究する場所 」として、はっきり意識して環境をつくってきたわけではありません。

ただ、ずっとあった感覚があります。

心を、暮らしの中で扱いたい。

重くしすぎず、日常の感覚から安心に戻れる場所を作りたい。

けれど、その願いをどんな形にすればいいのかは、まだ分かっていませんでした。

その途中に、麹を扱った料理の活動がありました。

そして、食と心のヘルスケアを掛け合わせた活動の「 心食堂 」がありました。

今振り返ると、どちらも遠回りではありません。

Cozy Life Lab.が、心の仕組み研究所として育っていくために、必要な時間だったのだと思います。

活動の名前や形は、何度か変わりました。

でも、奥にあった願いは変わっていません。

心を直そうとするのではなく、暮らしの中で少しずつ安心に戻ること。

難しい理論を押しつけるのではなく、自分の感覚を取り戻せるようにすること。

うまくいかない自分を責める前に、その手前で何が起きていたのかを見ること。

今のCozy Life Lab.につながるものは、もうその頃から静かに始まっていました。

もくじ

麹との出会い

Cozy Life Lab.という名前には、最初から少し遊び心がありました。

「Cozy」と「麹」。

音が似ている。

そんなダジャレのような感覚も、名前の中にありました。

けれど今になってみると、それはただの言葉遊びではなかったのかもしれません。

ちゃんと、つながっていました。

私は、めんどくさいことがあまり得意ではありません。

料理でも、ずっと悩んできました。

ちゃんと作らないと。
体にいいものを作らなきゃ。

そう思うほど、料理はどんどん重くなります。

暮らしの中に自然にあるはずのものが、いつのまにか「 できる・できない 」の問題になっていく。

そんな私にとって、麹の発酵は最初、とても遠いものでした。

  • 発酵なんて、私にできるわけがない
  • ちゃんと管理しなければいけないもの
  • 温度も、時間も、扱い方も、間違えたら失敗するもの

難しくてハードルが高いことのように見えていたのです。

でも、あるとき流れが変わりました。

  • あれこれ難しく考えなくてもいい
  • 簡単なやり方でいい
  • ずっと見張っていなくてもいい

そういう小さい許可が、自分の中に少しずつ生まれてきたのです。

すると、不思議なくらい麹が楽しくなりました。

難しいものだと思っていた麹は、実際に触れてみると、とても面白い素材でした。

  • 混ぜる
  • 置く
  • 待つ
  • 香りが変わる
  • 味が変わる
  • 見えないところで、少しずつ育っていく。

その変化は、私にとってとても新鮮でした。

楽しくて、おいしくて、体にもいい。

何拍子もそろっているような素材でした。

放っておいても、育つものがある

麹に触れていて面白かったのは、こちらがずっと頑張り続けなくても変化が進むところでした。

もちろん、最低限の準備や環境は必要です。

でも、一度整えたら、あとは見えないところで働きが進んでいく。

これが、私にはとても大きな発見でした。

それまでの私は、何かをうまくやるには、ずっと考えて、ずっと気を配って、ずっとがんばらなければいけないように感じていたようです。

でも麹は、少し違いました。

  • ずっと見張らなくても、変化は進む
  • 考え続けなくても、育つものがある
  • 一度離れて、別のことをしていても、見えないところでちゃんと働いている

その感覚は、ただの料理の話ではありませんでした。

今振り返ると、心の扱い方 にもつながっています。

心も、ずっと見張っていると苦しくなります。

考え続けるほどかえって固くなったり、早く整えようとすればするほど、安心から遠ざかることも。

麹は、そういった「 反対側にある感覚 」を教えてくれました。

ずっと管理しなくていい。
環境を整えたら、少し放っておいてもいい。

その間に、見えないところで育つもの がある。

この感覚は、今のCozy Life Lab.につながる大切な原型でした。

麹だけでは伝えきれなかったもの

楽しくて、おいしくて、体にもいい。

麹は、とても面白い素材でした。

ただ、そこには少し難しさもありました。

麹には「 体にいい 」というイメージが強くあります。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

ただ、体にいいものほど、人はそこに 正解を見つけたくなる ことがあります。

「 これを食べれば整う 」

「 これを続ければ大丈夫 」

「 やめたら悪くなるかもしれない 」

「 ちゃんと取り入れなきゃ 」

こうなった瞬間、楽しかったはずのものが少し重くなります

安心に戻るためのものだったはずが、不安を管理するためのもの に変わっていく。

私はそこに違和感を感じました。

麹そのものが悪いわけではありません。

でも、麹が「正解」になってしまうと、私が本当に伝えたいことからは、少しずれてしまう。

私が見ていたのは、健康法としての麹ではありませんでした。

  • 麹を扱う中で生まれる、心の余白
  • 考えすぎなくてもいい感覚
  • 放っておいても、育つものがあるという安心

そこに、大事な意味を感じていました。

だから、麹という素材だけに活動を置いておくことに、少し限界を感じるようになりました。

心食堂という場所

その後、私は麹の活動を、料理という枠に広げていきました。

そして、「 心食堂 」を立ち上げました。

心食堂でやりたかったのは、料理の正解を教えることではありません

  • 食べることや料理を通して、自分の感覚に戻ること
  • 暮らしの中で、心を重くしすぎずに扱うこと
  • 考えすぎた心を、手ざわりや香りや味のある日常に戻していくこと

それが、心食堂でやりたかったこと。

心食堂でしたかったのは、「 料理マインドフルネス 」でした。

何を食べるのが正解か、にこだわるのではありません。

今の自分の感覚を確認する

  • 今日の自分は、何を心地よく感じるのか
  • どんな手間なら、今の自分にもできるのか
  • 食べることで、少し自分に戻ってこられるのか

そうやって、暮らしの中で小さく安心を取り戻していく。

心食堂は、そういう場所として生まれました。

心食堂は、発酵期間だった

心食堂では、料理と同時に心のことを伝えるために、いろんな観点から学んできました。

その流れで、私にとっては料理よりも、心の仕組みを紐解いていくことが、ずっとやっていたいことに変わっていったんです。

葛藤の末、心食堂の活動から、心の仕組み研究所の活動に切り替えることに決めました。

ですが、心食堂は終わった場所ではありません。

Cozy Life Lab.が、暮らしの中で心を扱うことを学んだ場所です。

麹から料理→料理から心の流れへ。

その流れの中で、少しずつ見えてきたものがあります。

心の困りごとは、突然起きているわけではない。

現象だけを見ると、自分がダメだったように感じることがあります。

  • 休めなかった
  • 断れなかった
  • 考えすぎた

でも、その手前には小さな反応があります。

  • 失敗したくない
  • 迷惑をかけたくない
  • 早く安心したい

この小さな反応が見えないまま進むと、いつのまにか自分を責めたり、我慢しすぎたりしてしまうことがあります。

麹を難しく感じていたときの私も、きっとそうでした。

発酵そのものが難しかったのではありません。

発酵の手前にあった反応が、麹を難しく見せていた。

失敗しちゃいけない。

そういう小さな反応が、楽しさの手前に立っていました。

でも、その ルールをゆるめること で、少しずつ気持ちがほどけていったんです。

すると、麹との関わり方が変わりました。

これは、心の流れを見るうえでとても大切な体験でした。

Cozy Life Lab.へ戻ってきたもの

Cozy Life Lab.は今、「 ミニマムロジック 」を中心にして進んでいます。

ミニマムロジックは、結果の手前にある小さな心の流れを見る視点です

うまくいかない結果だけを見るのではなく、その手前に何が起きていたのか を見る

自分を責めるためではなく、何を守ろうとしていたのか を理解する

そして、今の自分に合う守り方 へ、少しずつ選び直していく

この視点がないまま、いい結果を求めて努力をし続けてしまうと、疲れや不安、不満が高まる原因を作ってしまいます。

こういった、ごく小さな反応に気づくことが、心にはとても大事です。

今研究しているこの視点は、突然生まれたものではありません。

麹から始まり、料理へ広がり、心食堂になり、そしてCozy Life Lab.へ戻ってきた。

その流れの中で、少しずつ育ってきました。

麹は、私に大切なことを教えてくれました。

急がなくても、ちゃんと深まっていくものがある

これは、今のCozy Life Lab.の土台にもなっています。

心は、無理に直すものではありません。

  • 流れを見る
  • どこで怖くなったのか
  • 何を守ろうとしたのか
  • どこで焦ったのか
  • どこで自分を後回しにしたのか

その小さな流れが見えてくると、心は「 変えなければいけないもの 」ではなく、「 育つ流れを取り戻せるもの 」に変わっていきます。

名前が変わったのではなく、流れが育った

麹の活動としてのCozy Life Lab.から始まり、心食堂が生まれ、そしてまたCozy Life Lab.へ戻ってきました。

外から見ると、活動の名前や形が変わってきたように見えるかもしれません。

でも、私の中では、すべてがつながっています。

麹は、考えすぎず、放っておき、切り替えながら、見えないところで育つものを教えてくれました。

心食堂は、その感覚を料理と暮らしに広げる場所でした。

そして今のCozy Life Lab.は、その流れを心の仕組みとして研究する場所になっています。

心食堂は終わった場所ではありません。

麹も、消えたわけではありません。

それらは、今のCozy Life Lab.の中に統合されています。

麹も、心食堂も、心の仕組み研究所にとって必要な発酵期間でした。

そう思うと、これまでの歩みがとても自然に見えてきます。

Cozy Life Lab.は、心を直すための場所ではありません。

心の小さな流れを見つけ、自分の文脈を取り戻し、安心して選び直していくための研究所です。

その原点には、麹がありました。

そして、心食堂がありました。

考えすぎず、放っておき、切り替えながら、見えないところで育っていく。

私が今伝えようとしていることは、もうずっと前から、暮らしの中で始まっていたのだと思います。

もくじ